立命館アジア太平洋大学様
課題
新たな教学棟の建設にあたり、アクティブ・ラーニングをはじめ、様々な授業形式や授業スタイルへ柔軟に対応できる映像・音響システムを構築したい。
解決策
グループワーク中心の学修を実施しやすい映像・音響システムの採用で、学生が自ら考え、アウトプットする授業をサポート。
どの教室もグループワークがしやすい環境をつくる、この挑戦的なテーマを具現化することができました。
背景
「第2の開学」と新教学棟「グリーンコモンズ」の建設
2000年の開学以来、これまでに世界166ヵ国・地域からの国際学生が在籍し、現在、国際学生の割合が全学生の約50%を占める立命館アジア太平洋大学(APU)様は、2023年4月、「サステイナビリティ観光学部」の開設と既存2学部の改革による「第2の開学」がスタート。その象徴として、APU様らしい教学が展開できる場として、新棟「グリーンコモンズ」が建設されることになりました。その際、教職員と建築企業でワーキングチームを編成。新しい授業をつくり出せる教室のありかたや、使い勝手などの議論が重ねられ、映像・音響システムに対してもそのコンセプトの実現が求められました。
導入システムの概要
教室でのグループワークとリモートからの参加を円滑に実施
グループワークを行うためのアクティブ・ラーニング教室やMBAスタイルの馬蹄型(U字型)教室、スクール型ながらグループワークにも対応する中教室、小教室、そして学生が集うグリーンコモンズステージへ、それぞれの規模や用途に合わせた映像・音響システムを採用。ワイヤレスマイクシステムは最も多い教室では28本が導入され、明るいLED照明下でも視認しやすい高輝度なプロジェクターやディスプレイ、教員の自動追尾も行えるリモートカメラシステムなど、教室でのグループワークとリモートで授業に参加している学生の両方に対応するシステムが構築されました。
導入後の効果
チャンネルプランに縛られずに複数本を導入できる1.9GHz帯デジタルワイヤレスマイクシステム
新教学棟「グリーンコモンズ」の各教室には、学生が発言しやすく、双方向性の高い授業やアクティブ・ラーニングを円滑に行うために、多くのマイクが必要になることから、1.9GHz帯デジタルワイヤレスマイクシステムが採用されています。教室内での複数本使用はもちろんのこと、教室が隣り合った環境でも混信することがなく、授業での自在な活用につながっています。
立命館大学情報システム部倉科様は、「今回の新教学棟を建設するにあたり、ワーキングなどで多くの議論を重ねてきましたが、その中でも学生の発言を活発に取り入れることが重要でした。これまでワイヤレスマイクは、多くの教室に導入するために混信を防ぐ必要があり、一教室に多くて2本の設置が限界で、授業中はそれを受け渡すなどして授業を進めていたため、授業のリズムは止まり、時間をロスしていたと思います。今回は、教員用の他に一教室で複数本のワイヤレスマイクを利用できようになり、例えばグループごとに各1本を割り当てるなど、授業のスムーズさを高められました。有償の電波を使わずにチャンネルプランも意識しなくて良い、このワイヤレスマイクは私達が目指す教室におけるブレイクスルーだと考えています。またアクティブ・ラーニングが行えるJ105教室とJ202教室では、28のグループに分けてディスカッションが行える環境をつくったのですが、一教室28本のワイヤレスマイクが運用できるようになっています。あらかじめグループごとにワイヤレスマイクを渡しておくことができ、発表者と質問者の掛け合いやグループごとの発表がスムーズに行われるなど、効果は計り知れません。今回採用したマルチセッション機能を活かせば、性能的にはひとつのシステムでワイヤレスマイクを最大96本まで運用(同時に発言できるワイヤレスマイクは最大16本)できるのでもっと発展できる可能性がありますね」と語ります。
教室内はもちろんオンラインでの授業参加でも明瞭で聞き取りやすい音声を実現
中教室にはハイブリッド授業でのエコーやノイズ、ハウリングなどの音響トラブルに対応するデジタルミキサーWR-DX200が導入され、オンラインで授業に参加する学生へも明瞭な音声を届けています。倉科様は、「いまでは、オンラインでの授業参加も当然の環境となっています。もちろん、教室から参加が基本ではありますが事情があってオンラインで出席することもあります。また、ゲストスピーカーにオンラインで授業に参加してもらうこともあります。その際、教室で参加している学生となるべく同等な音の環境を整えることを目指していました。WR-DX200で教室内とオンラインのどちらも聞きとりやすい音にすることを実現できたと思います」と語ります。またグループワークに特化したJ101教室の音響設計は、RAMSAの音響シミュレーションソフトウェア「PASD」で実施。教室の3D CADデータをもとにスピーカーの位置や角度を検討し、FIRフィルターを自動生成して調整したことで、授業によって変化する座席レイアウトの中で、どの場所であっても学生へ均一に音声を届けることが可能になりました。
[J101教室]
[グリーンコモンズステージ]
室内の明るさに負けることなく、どの場所からも鮮明に見られる液晶レーザープロジェクター
教室の規模や用途に合わせ、16,500lmの液晶レーザープロジェクターPT-MZ17KJLやバランスのとれた高画質投写で評価されるPT-MZ880JW、コンパクトながら明るい場所でも見やすいPT-VMZ61J、小型の液晶ランププロジェクターPT-LW376Jが各教室に採用されました。アクティブ・ラーニングを実施できるJ105教室、J202教室には、それぞれPT-LW376Jが28台導入されており、授業のスタイルに合わせて、28のグループでそれぞれ1台ずつ使用することができます。またディスプレイは、回転して縦置きもできるように取り付けられた4K UHD液晶ディスプレイTH-75EQ2Jをはじめ、TH-65CQ2J、TH-43EQ2Jなどが用途に応じて採用されました。
倉科様は、「窓の大きな教室が多く、教室照明はLEDになっているのですが、授業中に動画を流すことも頻繁にあることを考え、どの場所からもその明るさに負けずに鮮明に見られる輝度を求めました。また行いたい授業に合わせた多彩な授業スタイルに対応するJ101教室の大型ディスプレイは縦に回転させるとコメントのタイムライン表示やタイムキーパー表示に使うこともできるようにしてあります。大きなスマートフォンをイメージさせる見た目は、使いやすいと好評です。馬蹄型教室では後方に大型ディスプレイを2台設置してありますが、これは遠隔で参加している学生を表示するためで、そこに表示された学生にも話しかけ、疎外感を与えないようにしています。遠隔の学生に対してその場にいる学生と同じ目線の先に表示できたら、その学生を取り残さず一体感を得られるだろうと考えられたアイデアでした」と語ります。
まるでカメラマンが追っているかのように動作する4Kインテグレーテッドカメラの自動追尾システム
用途に合わせて各教室に、4KインテグレーテッドカメラAW-UE40Wと水平画角71度の広角撮影ができるHDインテグレーテッドカメラAW-HE20Wを採用。J101教室には12のグループにAW-HE20Wを1台ずつ割り当てられるように12台のカメラがそれぞれクラスターハブと呼ばれる専用のワゴンに設置され、全てのグループの様子を教室の大画面に一覧表示したり、遠隔で参加している学生とのコミュニケーションに使われます。
倉科様は、「今回、J101教室などのアクティブ・ラーニング教室と馬蹄型教室にはAW-UE40Wと合わせて自動追尾システムも導入しました。カメラの円滑なパン・チルト駆動と連動し、機械が動かしている無機質な動きではなく、カメラマンが追いかけているような印象を持たせています。人間らしさ、自然さがあると以前から感じていて、そこがパナソニックさんのすごいところだと思っています。また、顔を登録してその人物を追いかけることができるため、きちんと追尾ができる安定感もあります。馬蹄型の教室で は卓上マイクからの音声信号にカメラとスイッチャーが連動するフルリモート自動追尾システムを構築し、教員だけでなく、発言する学生の自動追尾をすることもでき、授業に緊張感をもたらしています。
もちろんカメラ本来の機能もハイレベルです。グループワークでは、学生の様子だけなく、付箋紙の文字を見せたいこともあれば、ホワイトボードの全景を見せたいこともあります。AW-HE20Wでは、どの状況においても鮮明な映像で撮影できるので、しっかりと情報を共有しながら授業が進められます。また、USBも搭載されているので、ワークを教室内で共有するためだけではなく、リモートでの授業やPanoptoなどの録画にも活用できます。教室単位だけでなくグループでも収録することが可能なため、積極的に使用していきたいと考えています」と語ります。
[馬蹄型教室]
[J202教室]
[中教室]
[小教室]
最大740名を収容可能なミレニアムホールに16,500lmの投写が可能な液晶レーザープロジェクターを2台採用
入学式や卒業式はもちろん、講演会、国際的な文化イベント、国際会議などが催されるミレニアムホールには、これまで2007年に導入された3チップDLP®方式プロジェクターが設置されていました。その機器の経年劣化にともない、液晶レーザープロジェクターPT-MZ17KJLが2台採用されました。1面で投写するときは340型相当で映し出し、2面で投写するときには横並びでそれぞれ240型相当の表示をすることができます。
[ミレニアムホール]
お客様の声
これからも一層、教室のAV機器の在り方を突き詰め、進化させていくつもりです
設計では機器のスペックありきではなく、デジタル機器は人の力を促進する存在で、小さな声を聞きやすくする、細かい文字を見やすくする、離れていても伝わるなどの身近な機能を積み重ねていく上でのベストマッチを、コスト内で積み上げることを基本と考えています。グリーンコモンズの映像・音響システムは、“どの教室でも”グループワークをしやすくすることを第一に設計しましたが、全てこのコンセプトの上に考えられています。そして、“どの教室でも”という挑戦的なテーマは、パナソニックさんと一緒にかなりの精度で具現化することができたのではないでしょうか。
一方、昨今のAIの進化を考えると、近い将来、教室のAV機器がセンサー となって授業の様子を解析することができるようになるのではと思っています。その時に品質の高い映像と音声は大きなアドバンテージになるはずです。もちろん、データポリシーの問題があるのですぐにとはいきませんが、ディスカッションの映像・音声をセンシング・解析することで、授業手法の改善や学生を平等に評価するための一助となることもあり得るかもしれません。AVとデータ解析が組み合わされる世界が見えてきました。いよいよ教室でもDXが本格化してくるかもしれません。これからも心地よさ、使いやすさを追求し、一層、教室の映像・音響システムの在り方を突き詰め、教員が使いやすく、学生が学修に集中できるように進化させていくつもりです。
納入機器
■音響システム
- ワイヤレスマイクロホン WX-ST200/ WX-ST400 ×108本
- ワイヤレスアンテナ WX-SA250A ×17台
- ワイヤレス受信機 WX-SR204DAN ×1台
- ワイヤレス受信機 WX-SR204A ×8台
- 増設ワイヤレス受信機 WX-SE200A ×3台
- 充電器 WX-SZ200 ×52台
- RAMSA 30cm 2ウェイスピーカー WS-AR200-W ×2台
- RAMSA ニアフィールドスピーカー WS-NF075-W ×20台
- RAMSA 天井埋込スピーカー WS-AC066 ×12台
- RAMSA デジタルミキサー WR-DX200 ×4台
- RAMSA デジタルパワーアンプ WP-DM912 [販売完了] / WP-DA204 / WP-DA114 ×22台
- 電源制御ユニット WU-L61 / WU-LP067 ×20台
■プロジェクター
- 液晶レーザープロジェクター PT-MZ17KJL ×3台
- 液晶レーザープロジェクター PT-MZ880J ×14台
- 液晶レーザープロジェクター PT-VMZ61J ×9台
- 液晶ランププロジェクター PT-LW376J ×56台
■ディスプレイ
- 4K液晶ディスプレイ EQ2シリーズ ×4台
- 4K液晶ディスプレイ CQ2シリーズ ×17台
■リモートカメラシステム
- 4Kインテグレーテッドカメラ AW-UE40W ×5台
- HDインテグレーテッドカメラ AW-HE20W ×29台
- 自動追尾ソフトウェア AW-SF200G / AW-SF203G(4ライセンス分)
- 赤外線ワイヤレスリモコン AW-RM50AG ×9台
…他
お客様紹介
スーパーグローバル大学が実現する多言語環境
全学生に占める国際学生の割合が約50%の「マルチカルチュラルキャンパス」。APU2030ビジョンとして「APUで学んだ人が世界を変える。」を掲げ、新学部の開設をはじめとした様々な改革に取り組まれています。授業の約9割が日本語と英語の両方で開講されており、世界106カ国・地域(2023年5月1日時点)から集う国際学生が学んでいます。
所在地 : 大分県別府市十文字原1-1
URL: https://www.apu.ac.jp/home/
RAMSA30cm2ウェイスピーカー WS-AR200-K/-W
高能率100dB(1W/1m)、高耐入力400W(連続プログラム)。高音質と柔軟な設置を両立させるラウンド・トラペゾイドフォルム、剛性を高める樹脂製エンクロージャーを採用。
RAMSAニアフィールドスピーカー(屋内用) WS-NF075-K/-W
アナウンスからBGM再生まで、広帯域な周波数特性とダイナミックなサウンドを提供する高音質の20 cm2ウェイスピーカー。
液晶レーザープロジェクター PT-MZ880J
空間に調和する新キャビネットデザインと27dB※の静音設計で、プレゼンテーションに集中しやすい環境づくりをサポート。
※騒音値は、ノーマルモード/エコモード時: 34dB、静音モード時: 27dB。
4K UHD液晶ディスプレイ EQ2シリーズ
明るい環境下でも輝度500 cd/m2で高い視認性を確保。HDMI入力「3系統」、USB Type-C、デジタルアウトなど、豊富な端子を実装。
自動追尾ソフトウェアキーAW-SF200G
“顔認証”+“ディープラーニングによる人体検出※”で高精度な自動追尾を実現。
※ご使用には、ソフトウェアのバージョンアップが必要になる場合があります。また、お使いのサーバーやPC によって機能に制限があります。